遠くに見えた豚のケツ。

何年も前の事。

ある家の古びた車庫に、何十年も放置され、いよいよ土に還る日を待つだけになった猿があった。

その猿の主は、息子の知人(僕)が猿海苔であることを知り、土に還すくらいなら、と僕に授けた。

モンキーがタダで入手できる事自体がレアになっている時代だし、そりゃ胸が高鳴った。

しかし、その猿は全身に茶色の錆を、何十年分のホコリを纏い、ガソリンタンクなんて「形を保っている」だけの状態。
当時、場所も道具もレストアするには少々用意が必要だった。

とりあえず各部品、部分ごとにバラし、手始めにフレームの再塗装から着手。
元の塗装を剥がし、おおかたの錆を取り、板金塗装屋の叔父に頼んで2液サフ。
そしてオリジナルのピンクを調色し、さらにパールを足して塗装。

ノロノロになっていたフレームをリフレッシュ。
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でもその後、人生のゴタゴタのなかで結局それ以上作業を進めることもなく、僕までこの猿(のフレーム)を棚の上に置き去りにしてしまった。

さらには、その後に弟からタダでもらったゴリラ(現モンキー仕様)のレストア兼カスタムを優先してしまい、なおさらピンクフレームは追いやられた。

フレームのリフレッシュから数年経ち、再利用できそうだった部品も気付けば棄てていて、現在残っているのはピンクフレームだけ。

「お前はまだ走れる！俺が走らせてやる！」

そう言ってカッコつけたくせに。。。

どうする。。。

昔の事だと心に言い聞かせ目を閉じ、このまま棚の上のオブジェにするか？

あるいは今一度。。。